Omizu

結婚しない女のOmizuのレビュー・感想・評価

結婚しない女(1978年製作の映画)
4.5
【第31回カンヌ映画祭 女優賞】
『ハリーとトント』のポール・マザースキー監督作品。カンヌ映画祭でジル・クレイバーグが女優賞を受賞、アカデミー賞では作品賞・主演女優賞・脚本賞にノミネートされた。

女性映画の先がけともされる一作で、同年の『アリスの恋』や『キャリー』(1976)、『エイリアン』(1979)などがその系譜にある。『ワーキング・ガール』(1988)や『エリン・ブロコビッチ』(2000)もそうだね。

要するに家庭で大人しくしている女性像を打ち壊し、社会に出て戦う強い女性像を打ち出した作品群。

本作は主演のジル・クレイバーグがハマっていたのが大きな勝因か。とても面白い映画に仕上がっていた。

突然の夫の浮気により一人で生きていかざるを得ない女性をモダンに、力強く描いた快作。

ことあるごとに四人の女たちが集まって話すのだが、その様子がまさにシスターフッドという感じで頼もしい。それぞれ違うタイプだけどみんな強く自分を持って生きている。

対して男は情けない存在としてコメディ的に描かれる。浮気を告白する夫がぐちゃぐちゃに泣くところとか、初対面なのにタクシーで襲われそうになるところとかマジで男の愚かさを煮詰めた感じ。

それでもエリカは自然に男性と出会う。危ういところはあれど、それまでとは異なる関係性を築ける可能性が提示されて終わるラストがいい。

巨大な絵を抱えて街なかを歩くエリカは自信に満ちていた。「私はこういう存在だ!」と表明することに恥じらいがない。堂々とした女性像を端的に表した名演出だと思う。

もっと評価されてもいい女性映画の金字塔的作品だと思う。おもしろかった!
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