くりふ

妖怪巨大女のくりふのレビュー・感想・評価

妖怪巨大女(1958年製作の映画)
3.0
【哀しき巨大妻 ~握ったら離さないわよアナタ~】

某店頭発掘良品で見つけたのでレンタル。知られたポスター画の力で、ずっと気にはなっていたが、キチンと見ていなかった、クラシックとほほ物件。

この邦題だとぬりかべとか、古典妖怪が出てきそうだが純然たるアメリカ映画。とある、とほほ事情から、ひと晩で身長15メートルにハニーフラッシュしちゃった人妻さんのおはなし。

1958年当時、人間がでかくなったりちっこくなったりする映画がウケていたそうで、今度はお色気付きだ!と思ったか知らんが便乗したらしい。原題は『Attack of the 50 Foot Woman』。

しかし、お話がえれえ暗くて驚きました。元々、心に病を持つ妻は、腹に一物ある夫と、ある人物に日々、苦しめられている。巨大化も全くの災難で、お悩み解決には向かわず、先に待つのはカタストロフのみ。

巨大化理由は未確認飛行物体系のノーテンキなやつ。だから日常ドラマとはなんか、食べ合わせ悪くて。妻さんの作中ヒドイ扱いには、何気にミソジニーさえ感じてしまったり。

んが、後々登場する、黄金の50年代なのに郊外の妻、じつは不幸映画…思いつくのは『レボリューショナリー・ロード』等…を、リアルタイムで先出しちゃったのでは?という気もして、にゃらば、意外と映画史的にも重要な巨大娘映画では?と錯覚したりします。

当時は、巨大化でもしないと、妻は逆襲できなかったのかな?とかね。

ずっと後、90年代になって、何故かダリル・ハンナがリメイクしているんですよね、自分で演じて。そちらも昔々、見ましたが、やっぱり暗く、こちらはフェミニズム色が強かった記憶があります。

個人的にはその後の、フレッド・オーレン・レイ版なんかの方が楽しくて好きですが、本作はとにかく、ジャイアントウーマンの元祖イメージを創り上げた功績としては、巨大なのではと。

(当時)最近でも、こんなPVが作られているし。

http://youtu.be/qolmz4FlnZ0

<2021.4.21記>
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