けーな

トースト 〜幸せになるためのレシピ〜のけーなのレビュー・感想・評価

3.6
ジャケット写真からは、料理を軸に、ほっこりする家族愛の物語だと想像してしまうけど、内容は、かなり違っていた。けっこう壮絶な日々を過ごす少年の物語。実話ベース。

イギリスでは、知らない人がいない、料理研究家ナイジェル・スレーターの少年時代を描いた物語。私は、ナイジェル・スレーターのことを全然知らなかったのだけれど、料理の記事を書いたり、自身のテレビ番組も持っていて、とても人気のある人だそう。YouTubeで、彼の番組を観てみたら、家やお庭(菜園)がとても素敵で、料理も素晴らしかった。

ナイジェルを演じたのは、終盤の青年期は、フレディ・ハイモアだが、それより前の大半の部分は、オスカー・ケネディという子役。彼が、とっても巧かった。お母さんとダンスするシーンがいいなと思って観ていたら、お母さんが亡くなった後に、お母さんのドレスと一緒に踊るシーンがあって、うるっとなった。

お父さん役は、ケン・ストット。ホビットでドワーフの1人を演じていた人だ。今回は、偏屈で、息子への接し方も分からないような父親役だったけど、ナイジェルのお母さんが亡くなった時に、ナイジェルのベッドの横で泣いていたシーンが、印象的だった。

そして、やっぱり、ヘレナ・ボナム=カーターの存在感と言ったらなかった。家政婦さんが、ミニスカートにストッキングとハイヒールで掃除って。上品さのかけらも無いって雰囲気を、実に見事に演じてた。喋り方のアクセントも変えてたし。しかし、このポッター夫人、料理の腕前が凄すぎる。レモンパイ、食べたい。しかし、最後は、彼女も可哀想そうな気がした。今頃、彼女は、どうしているのだろ?

そして、何より、映画のラストが粋だった。ナイジェル・スレーター本人が、あんな風に登場するなんて。コック服に、さり気なく、ロンドンの高級五つ星ホテル、サボイのマークが。そして、最後に、ナイジェル本人が、やっぱりトースト食べてるってところが、いいよね。
けーな

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