R

夜のピクニックのRのネタバレレビュー・内容・結末

夜のピクニック(2006年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2006年のアメリカの作品。

監督は「くだまつの三姉妹」の長澤雅彦。

あらすじ

高校生活の最後を飾る伝統行事「歩行祭」を
舞台に80キロの道のりを親友たちと夜を徹して歩く高校生たちの青春を描く。

U-NEXTにて、2回目の鑑賞。

小説家の恩田陸による原作小説は当時読んでて、その頃原作の高校生たちと同じくらいの年代だったこともあり、なかなか楽しく読んだ記憶があるけど、今作のその実写化作品となっている。

で、今作で出てくる「歩行祭」。高校生たちが夜を徹して80キロの距離を「ただ歩く」だけの今だと結構難しそうな運動祭みたいな催しとなっているんだけど、実際に恩田陸さんの母校の茨城の高校で実際に行われている催しらしい(「歩行祭」ではなく「歩く会」)。検索をかけると2023と出てくることからも今も行われているのかな?

で、そんな本作、まだ初々しい第一線で活躍している俳優陣も多く出演しており、主演は多部未華子(「流浪の月」)だし、他にも貫地谷しほり(「オレンジ・ランプ」)、加藤ローサ(「こんにちは、母さん」)、まだ小僧感のある、あの池松壮亮(「愛にイナズマ」)も出てる!!

他にも石田卓也(「あしやのきゅうしょく」)だったり、郭智博(「世の中にたえて桜のなかりせば」)だったりと今はあんまり見なくなったけどいい俳優も出ているんだけど、個人的には西原亜希(「闇金ドッグス6」)がまさに劇中で高嶺の花扱いされているように、めっちゃ清楚系美人すぎて見入ってしまった。

あと、個人的に1番印象的だったのは柄本祐(「花腐し」)!!演じるのは高見君という、昼間は死んだように静かでリタイア寸前なんだけど、夜間に入ってくると「夜型人間」として、急にテンションアゲアゲで絡んでくるというそれだけ見るとかなりウザめのキャラクターなんだけど、ロック好きで友だち想いという側面から、個人的に原作でも1番出てくるだけでワクワクするキャラで好きだったんだけど、それを実写化すると、やっぱ初めは観ていてかなりイタイ。「イェーイ!」とか「フォーー!!」とかそれこそロック調にやたら今のクールイメージが強い柄本佑がやってるのを見ると「無理してんなぁ…」って思っちゃうんだけど、だんだんと後半にかけて馴染んでくるように感じる不思議w流石演技派、この頃からその片鱗を垣間見られるというわけだ。

ただ、お話的には割ととっ散らかってる印象で、「歩行祭」というただでさえ青春濃度が高いイベントのお話だから、さぞや1人1人の青春模様が描かれると思いきや、コメディリリーフの貫地谷しほり演じる梨香の急な1人舞台が始まったり、「靴泥棒」というキャラクターが出てきて謎のアニメパートが入ってきたり、他にもゴジラの足跡が出てきたり、加藤諒(「翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜」)ら演じるよくわかんない兄弟のよくわかんない動きなど、やたら脱線してはそれらに対して特に言及されることなくぶん投げたままというトホホな感じ。

ただ演じ手も当時の高校生をそのまんま使ってる感じで全体的に野暮ったい感じはあるんだけど、その野暮ったさこそが良くて、まさに当時の高校生の雰囲気をそのまんま真空パックしたような感じで、そこに主要キャラのエモさ爆発の繊細な演技がド直球に放り込まれるとそれだけで「いやぁ、良い」。前半は上記の謎な脱線のせいでわりととっ散らかってるんだけど、仮眠タイムを設けての後半のスパートを上げての本気モードで挑む体制に入ってくると軸である多部未華子演じる貴子と石田卓也演じる融の「関係性」に絞られて、それがちゃんと昇華されるラストスパートでのヘトヘトになりながらの全員ゴールの青春の煌めきが尊すぎてもう…。

郭智博演じる忍の「みんなでただ歩くだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」というセリフからも分かる通り、ただ歩くだけでもそこに気の許せる友だちがいればそれだけでその時間はかけがえのないものってことだよなぁ。

いやぁ、久しぶりに観たけどエモさと懐かしさが爆発していて、クオリティ的には首を傾げる部分もあれど、個人的には嫌いになれない作品でした。また原作読み返そうかな…。
R

R