半兵衛

御冗談でショの半兵衛のレビュー・感想・評価

御冗談でショ(1932年製作の映画)
3.7
ある意味キートンやチャップリンよりもぶっ飛んだマルクス兄弟のアナーキーなギャグの数々がこれでもかと繰り出され、その無茶苦茶なギャグはあまりにも常識や倫理を超越しており『天才バカボン』の境地に近くて笑うというよりいつしか呆れて唖然としてしまうことに。

主人公の教授がアメフトに勝つため選手をスカウトしようという話のはずが、獲得した選手がマルクス兄弟のメンバーだったため笑い優先になってしまいお話は二の次に。そのため肝心のアメフトが後半10分のみの展開になってしまい、いつの間にかカタがついている。でもフットボールで勝つためのインチキはアホらしすぎて笑ってしまう。

そんなふざけた語り口なのに、音楽の演奏シーンは本格的でそのギャップにクラクラになる。いつもは突発的なギャグを意味なく繰り出すハーポがハーブを素晴らしく演奏するシーンはちょっと感動した。そして学校で教授就任の挨拶をしている主人公の演説がなぜか歌になり、聞いている生徒や後ろにいる先生たちが一緒に参加するバカらしさがいい。

教授が息子が付き合っている未亡人女性に手を出そうとするくだりも結構クレイジーだが、それがまさかラストの伏線に。

後年『腰抜け』シリーズなどギャグ映画で活躍するノーマン監督の手腕は既に完成している。
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