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アイアン・ジャイアントのLCのレビュー・感想・評価

アイアン・ジャイアント(1999年製作の映画)
4.2
面白かった…!

とても良いもん見たな、と思える。
少年が巨大ロボットと仲良くなり、危険性も描写されるんだけれど、では対抗するとして軍力を用いる時に客観的な判断ができない人が居るとしたら、その結果命の危機に晒されるのは、といった感じで、大人が見てもきちんと面白いと思う。
もちろん、強くて優しいロボットと1番の仲良しになる少年に自身を投影しながら見ても満足できるだろうから、子どもも楽しめると思う。

それにしても興味深いロボットだった。
自身を自動的に直せる、いや、自身のパーツに自身が直るように動いてもらうことができる、かな。便利過ぎる。iPhoneの画面が割れた時、iPhone自身が直してくれたら最高だもんな。割れた画面は流石に無理…?
でもこれが、爆弾で吹っ飛んだ身体で行われているのを見ると、少し印象が変わる人もいるかもしれない。防衛機構とはいえ、絶大な力を描写された後だと、尚更。
原爆と正面衝突してたと思うんだけど… それでもお顔が焦げ跡なく形も保ってて… 本当にそれ鉄…?鉄ってそういうものなのか…
考えたり情緒があったり言葉を学習したりするし、AIではなく、生き物の何かを移植されてるのかなとも感じられる。10歳児相当の脳とか入ってても驚かないかも。
いったい… どこでどうやって生まれたんだ、アイアンジャイアント…

少年にきちんと接するお兄さんに余裕があるのがとても良い。芸術を楽しむ余裕。他者に寄り添うあたたかさ。だからこそのユーモア。拒否するものは拒否するし、自分の気持ちも大切にできる。豊かに耕された彼の心が感じられて良い。豊かに耕された心って、出会うのが難しいよなあ。
調査に来る男性も、彼は彼なりに仕事熱心ではあって、理解できる部分もちゃんとある。ただ、他者に対するあたたかさの欠如がどうしても目立ってしまう。そうすると、鉄巨人の持つ危険性は確かに無視できないのだけど、心情的に彼の言葉に耳を傾けづらい現象が起こる。

周囲と馴染めてなさそうだった少年が、最後仲良しさんを見つけられた描写が嬉しい。彼の寂しさは格段に減ったのかもしれないね。
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