Tully

ブルース・ブラザースのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

ブルース・ブラザース(1980年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

刑務所から出所した太っちょな兄を中古車のパトカーで弟が迎えにきたところから、映画ははじまる。二人とも黒スーツに黒ハットにサングラスという格好。あきらかに世間から浮いている二人がバンド『ブルースブラザース』の再結成をめざしてあちこちで好き勝手にやり放題。彼らを狙うはナチ党に警察に元カノ。歌あり踊りありダイナマイトありの圧倒的ドタバタ劇。動きと音だけではなく、ストーリー展開の独特なリズムとおバカな内容とは裏腹に秀逸な構図も楽しませてくれる。ブルースにまるで興味ない人でも安心のエンターテイメント。楽器屋のおっさんがピアノを弾けばそこから町全体が歌いだし、夫婦喧嘩も気づけばブルースパーティーへ発展する。序盤の教会での演奏シーンで、この映画のやる気まんまんぶりを誰でも感じとると思う。個人的には最後のライブシーンが教会での演奏に負けている気がしてそこは残念だったけど、本当のドタバタはここから。ライブを終えて裏道から逃げようとするブルースブラザースを元カノ、ナチ、警察が追いかける。終盤は完全なカーアクション映画と化す。目的だったブルースブラザースのライブは終わったんだからそろそろスタッフロールだろ、と油断していたところにたたみかけるド派手なアクション。このサービス精神の旺盛さ。サービス精神を視認させるようなパトカーの数と、その異常なしつこさが笑える。サイレンを響かせてわらわらと大量のパトカーの群れが追いかけてきて、お約束のようにガチャガチャと大量のクラッシュ。道路上に山盛りとなったパトカーには仰天。この映画の大ボリュームのカースタントをみていると、ところどころでこれどっかで見たなと既視感におそわれる。それが全部アメリカ発のカーアクションゲーム。追跡第一主義で市民への迷惑なんて気にもかけないパトカーのバカバカしさとしつこさは「GTA 」。鉄橋に沿って鉄橋の下を走ることで体感速度をを限界まで高める工夫と、クラッシュしたパトカーの山は「burn out legend 」。のちのアメリカのカーアクションゲーム業界に影響を与えたことは間違いないと思うし、その功績は大きい。好きな音楽を好きなように使って車で好きなように遊んで、まるで監督が子供のような無邪気さでやりたいことやってる印象を受ける怪作。
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