たく

地の果てを行くのたくのレビュー・感想・評価

地の果てを行く(1935年製作の映画)
3.5
殺人を犯した男が外人部隊に入って地獄のような戦場に身を投じていく話で、若きジャン・ギャバンの我が身を顧みない男臭さがハマってた。彼のジュリアン・デュヴィヴィエ監督作出演は本作がおそらく最初で、このあと「我等の仲間」「望郷」などデュヴィヴィエ作品の常連になるんだね。アナベラのエキゾチックな風貌も印象的で、「巴里祭」と全く違うキャラにとても同一人物とは思えなかった。

パリで殺人を犯したジリエトが身を隠すためにバルセロナに潜伏し、やがてモロッコの外人部隊へ入隊する。ここでやけに慣れ慣れしいリュカにしつこく付きまとわれるのがうっとおしいんだけど、後半で彼の素性が明らかになるのが上手い筋書き。ここから更にジリエトが南の戦場に送られて原住民のアイシャと恋に落ち、リュカがまたジリエトを追いかけてきて、舞台がどんどん南に移って最後に地獄のような戦場へとたどり着くという、追い詰められた人間の宿命を見せられるような話になってたね。リュカが最後にジリエトに対する友情を見せるのがジーンときた。

1935年の作品ということもあるだろうけど銃撃シーンがかなりチープ。それに反して場面転換のエフェクト(トランシジョン)を多用したり、酒場の喧嘩のシーンで手持ちカメラ風にグラグラ揺らすなど工夫してるのが古い映画にしては実験的な演出だと思った。
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