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真昼の暗黒のtheocatsのレビュー・感想・評価

真昼の暗黒(1956年製作の映画)
4.0
ネタバレ
捏造拷問取り調べ警察と嘘つき主犯の重罪

見るのが辛くなるのが分かりきっていた為に視聴を先延ばししてきた作品。
ようやく見る決心がついたもののただただやりきれない思いのみが残された。
何しろ、冤罪判決を勝ち取るためには映画公開からさらに11年待たねばならなかったのだから・・・・絶句する他ない。




まず第一に責められるべきは警察の思い込み捜査。単独犯ではなく複数犯と見込みを立て、それを既成事実化してしまったため後戻りできず、主犯が真実を洗いざらい自白したにもかかわらず、拷問で既定路線化した複数犯という捏造ストーリーを強要したこと。

第二に責められるべきは警察の捏造ストーリーの方が自身の罪が軽減されるという教唆に相乗りしコロコロ嘘をつき続けた主犯。

無実の共犯者を集団拷問にかけて自白強要する取り調べ風景も当時はごく普通のことだったのだろう。

明確なアリバイがありながら、しかも巡査までそのアリバイに直接関与しながら、保身のために嘘をつく場面にはため息。

判事までがアリバイ証言の実地検分に立ち会っていながら、しかも弁護人が主犯の詭弁を覆そうとあれだけの論理的推論を述べたにもかかわらず、全員有罪の判決を聞いた時はまさかとこちらも驚いた!
映画の中の無実の被告人家族のみならず、再生時間的にもこちらまで冤罪判決が下されると信じて疑わなかったのだから・・・




冤罪を勝ち取るまで事件発生から17年。映画はその途中までを切り取ったものであり、製作陣も冤罪事件と強く確信し義憤の念に駆られ撮影を続けたのであろう。その原動力となったのが被告弁護人でもあった原作者の書籍。

映画の出来としては全て的確とは言い難く、冗長と感じる場面もあるなど決して良作とは言えないと思う。しかし、警察の捏造・暴力体質、主犯の下劣性などを糾弾しようとする気概は十分すぎるほど伝わってきた。


総評四つ星



個人的に痴漢の冤罪事件なども数件記憶にとどめているので関連情報(映画)を探して見ていきたい。痴漢・窃盗・殺人などいつ何時自らに降りかかるか分かったものではないので。

002008
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