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悪魔を見たのTOTOのレビュー・感想・評価

悪魔を見た(2010年製作の映画)
4.0
「悪魔は誰だ――」

ナ・ホンジン監督のデビュー作「チェイサー」で鈍器で頭を強く殴られたような衝撃を受けて以来、すっかりコリアン・ノワールの虜になった。
韓国には良い俳優が沢山いるけれど、この役者が出ていたら迷わず見るのが、ソ・ガンホとマ・ドンソク、そしてこの作品で悪魔以上の悪役を演じているチェ・ミンシクである。
チェは日本のコミックを原作とした「オールドボーイ」でも印象に残る演技を見せた。人間味に溢れる一方で、軽々と善悪の境界線を飛び越えるキャラクターを演じさせたら右に出るものはいないと思う。
そして韓国では超正統派二枚目のイ・ビョンホンが今作で単なる正義とは異なる復讐鬼を演じている。

チェ・ミンシク演じるシリアルキラーに妊娠中の妻を殺されたイ・ビョンホンの復讐は、単に命を奪うのではなく、犯人に地獄のような苦しみを味合わせることを目的としている。その攻防は執拗で残酷。
痛みが伝わってくる演出はコリアン・ノワールの真骨頂だ。
脇を固めるキャラクターの曲者っぷりも、また本作の魅力を上増しし、さらに残酷さとエロティシズムが程好くブレンドされ、大人向けのノワールに仕上がっている。
結局、誰が悪魔だったのか、観た人だけが理解できる。
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