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春秋一刀流のricoのレビュー・感想・評価

春秋一刀流(1939年製作の映画)
3.8
解説によるとディヴィヴィエ「我等の仲間」が元ネタらしい。「冒頭のチャンバラ場面などにストラビィンスキーの「兵士の物語」が流れる。当時の青年はそんな文化的教養を持っていたのである。」との事。

昭和14年だから日本でトーキーは始まったばかりの時期に敢えて日記を通したりと字幕を使ってみたり、チャンバラ場面もバストアップに舐め気味のカメラなど何かと意欲的。
最後の決戦に向かうシーンは「血煙高田の馬場」を思わせるエモさ。
こんな時代劇で「運命」なんて事を語るのは矢張り洋物ナイズされているからなのだろうけれど、「お金で命を落とすより愛する女と堅気の仕事につきたいが、何か自分を縛る運命を感じるので、自分は死ぬかも知れない闘いを選ぶのだ」なんてことを昭和14年に語られると、これがこの時代の底辺に流れていた空気だったのだろうと思ったりした。
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