ピッツア橋本

マンディンゴのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

マンディンゴ(1975年製作の映画)
4.5
"黒人奴隷問題系メロドラマ"

1975年公開。60年代の奴隷制度を中軸に据えながら、愛憎劇、喧嘩バトル、社会風刺、ウイットの効いた拷問、白人の暴君ぶり、、、に留まらず一瞬肌の色を超えた絆を見せたりするかなりハイブリッドな人間ドラマ。

主題のマンディンゴは、上質な黒人という意味。血統書付きの名馬といったところ。
白人お金持ちのハモンドに奴隷市場でマンディンゴ、ミードを買う所から話ははじまる。
ハモンドは幼馴染の白人の嫁をもらうが初夜で処女じゃない事を察知し、一気に熱が冷める。むしろ素朴な黒人奴隷の少女を溺愛してしまう。

そんな歪な人間関係が超強力で不安定な磁場となり、白黒つかない特濃なグレーゾーン物語を展開してくれる。

直接的な性的描写が無い分、言葉の暴力が半端ない。
一応社会問題を取り扱いつつも、この腐った価値観のオンパレードは実写版サウスパークと言っても良いだろう。そしてだいたいハモンドの父のアドバイスが不幸の火種に油を注ぐ構図がもはや痛快。
ハモンドがカートマンにしか見えない。素朴にクズ。

最後の20分の畳み掛け、拷問ギミックの数々が伝説の昼メロ、牡丹と薔薇を思い出させた。あるいは別冊マーガレットだろうか。
何となくあの嫁がやってる事、小沢真珠っぽいしなあ。

ラストは歌込みで黒人問題への憂いや矛盾が闇鍋のように詰まり過ぎて眩暈がした。

今村昌平のお言葉を借りると、本作は「不幸で凄惨すぎてむしろ笑える、重喜劇」である。

自分はそんな風に思った。だから本作に散りばめられた生き地獄を落ち込むんじゃなくて嗤うべきだと思う。
ピッツア橋本

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