ピッツア橋本

風の絨毯のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

風の絨毯(2002年製作の映画)
3.9
“魔法のペルシャ絨毯に乗って、私は知らない街に連れてかれた”

ペルシャ絨毯作りで繋ぐ日本とイランの合作映画。
飛騨高山のお神輿の装飾用に日本人家族がペルシャ絨毯のオーダーメイドをしていたのだが、デザインしていた母(工藤夕貴)が死去。
傷心で父(榎木孝明)と娘(柳生みゆ)がイランに受取りに行くのだが、何と手違いで絨毯は全く作られていなかった!
そして急遽、みんなの力を合わせて一からじゅうたんを編み始める荒業に出るのであった!

すごく不思議な気持ちになる映画だ。
日本イラン合作ゆえに、イランの緩めの国民性というか価値観に新鮮なイラつきを感じる。大人がダメすぎる。特に男が無能。
神頼みする前に手を動かせ、手を!
とツッコミたくなるんだけど、この苛立ちはそれだけ演出クオリティが高いって事なんだろうな笑

ただペルシャ絨毯が紡がれていく様は美しさ以上に温かみがあって良かった。
ともすればスラム街のような裏路地で手の空いた主婦や少年たちがかわりばんこに編んでいく様は良かった。

「苦しい時ほど神様に近づけるんだよ」というイランおばさんのセリフが胸に響いた。真剣に生きるってそういう事だよな。

あとイランの少年と柳生みゆによるちょっと切ないボーイミーツガールも描かれていて、その落とし所がテーマと噛み合っていて自分はとても好きだった。

たとえ二度と会えなくても、言葉は伝わらなくても100年生きるペルシャ絨毯に希望の火が灯っていたように思える。

悪くない映画。ただイラン男性にはイラッとした。
ピッツア橋本

ピッツア橋本