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ジュラシック・パーク IIIのシネラーのレビュー・感想・評価

ジュラシック・パーク III(2001年製作の映画)
3.5
シリーズ第3作であり、
"ジュラシック・パーク"としてだと
最後の作品である本作を再鑑賞。
突っ込みどころはあるものの、
気軽な気持ちで鑑賞できる
恐竜サバイバル映画として好きな作品だ。

物語としては、
前々作の主人公グラント博士が
実業家のカービー夫妻の誘いから
再び恐竜達の島へと赴く事となり、
直ぐに遭難してしまう状況下で
島から脱出しようとするサバイバル映画
な内容となっている。
本作は一時的に登場人物が
分断される場面があっても短く、
基本的に一団となっての行動が多い事で
サバイバル・アドベンチャーとして
良くも悪くも単純な展開となっており、
それだけにテンポ良く物語が進む、
見易い内容だと思った。
その上、前作まで恐竜側で台頭していた
T-REXに代わり、
スピノサウルスがメインの恐竜として
登場するが、
陸地から河川まで襲いかかる
スピノサウルスは決してT-REXの
二番煎じにはなっていないと思う。
スピノサウルス対T-REXの場面も
複雑な心境ながらも見応えあり、
シリーズとして初めて恐竜同士の対決を
ピックアップした部分だと感じられた。
近年の説では、四足歩行だったり、
尻尾に尾鰭のようなものがあったと
唱えられるスピノサウルスだが、
本作でのスピノサウルスの
強靭なイメージに勝るものはないだろう。
シリーズ皆勤賞のラプトルに関しても、
本作から雄の個体に毛並みが少し
見られている等、
新たな説の要素を取り入れながらも
ロマンある恐竜を描いていると思った。
(もっとも本シリーズのヴェロキラプトルと
定説のヴェロキラプトルは全く違うのだが…)
翼竜であるプテラノドンも
本作で猛威を振るっており、
陸・川・空と恐竜達が襲いかかる状況
にバリエーションがある事も良かった。

不満点としては、
事の発端であるカービー夫妻に
良い印象を抱けない点だ。
事情や動機は理解できるが、
グラント博士を騙して巻き込んだ
挙げ句に危険行為をする言動は、
共感しきれない部分だった。
カービー夫妻の子どもである
エリックに関しても、あの島で2ヶ月も
生存しているのは突っ込んでいけない
ご都合的な部分だろうか。
加えて、グラント博士とサトラー博士が
別の所帯持ちになっている点は、
改めて残念に感じる部分だった。
又、サバイバル・アドベンチャーに
徹している分、人間ドラマとしての
面白味が薄い事も言えるだろう。

第1作と比べると映画としての質は
低くなっていると感じてしまうが、
シリーズで最も気軽に鑑賞できる
作品であり、恐竜のバリエーションも
豊富である為に約90分という尺で、
大いに満足感を感じる続編だった。
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