マルケス

アレクサンドリアのマルケスのレビュー・感想・評価

アレクサンドリア(2009年製作の映画)
4.0
事前情報なしに鑑賞し、4世紀頃に実在した哲学者ヒュパティアの伝記映画だと知った。ググった即席の情報を元にもう一度観るという、これまたいつもの流れ。

史実を大胆に脚色した重層的なストーリー。宗教と科学。宗教と政治。多神教エジプトと一神教ローマ。キリスト教とユダヤ教。知識層と下層民・奴隷。迷いがない信念の女性と迷いに迷い続ける男性。幾つもの対立軸を織り込み、感動的な歴史ドラマだった。

ヒュパティアがコペルニクスの考えを先取りしていたという描写は事実と異なるが、異端審問にかけられたガリレオに重ねたのだろう。後半、同じ神を戴くキリスト教とユダヤ教の対立。現代まで連綿と続く宗教戦争の愚かさを見せつけられたよう。

ダオスという架空の若者を配したことで物語に深みが増したと思う。愛するが故に彼がとった行動は胸に迫る。無言で心を読む表情とフラッシュバック映像に泣かされた。レイチェル・ワイズとマックス・ミンゲラの名演技。(ここ3度見)
CGを使用せずに巨大なセットを組んだという建物や街並みは壮大で、古代アレクサンドリアに入り込んだようだった。

アレクサンドリア図書館は詳細が不明で、資料を繫ぎ合わせて想像するしかないらしい。
アレクサンドリアと共に古代の三大図書館と称されるのがペルガモンとセルシウス。エフェソス遺跡でセルシウス図書館跡を見たが、レリーフを施した壮麗な外壁が残っていた。あんな建物だったのかなあ…と想いを馳せてみる。
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