「聞きたいんだ。学校が教えようとしないこと。あんたしか話せないこと」
ホロコーストに興味を持った高校生が、近くに住んでいた元ナチスの老人に話を聞いたことをきっかけに、知識欲がヤバい方向へエスカレートしていってしまう話。
さすがスティーブン・キング原作といった感じで、めっちゃ怖い。特に人間がバグっていく様子を描くのが上手かった。体育後にシャワー浴びてる時に隣にガリガリのユダヤ人が見えるようになったり、家にやってきた可愛い猫をオーブンに入れようとしたり。主人公も老人も、徐々にホロコーストに心が蝕まれていく描写がリアル。そして主人公が老人を軍服姿で行進させるシーンはマジ狂気。
主人公2人は「世界中で指名手配されてる戦争犯罪人」「その事実を指紋盗んだりして突き止めた違法少年」という、お互いに秘密を握り合った奇妙な共依存関係であり、どちらかがピンチの時には口裏を合わせなければならなくなっているのも上手い座組みだなと思った。
エンディングに明るいドイツ民謡をチョイスするセンスが個人的には一番怖い。
以下、セリフメモ。
「あんたの指紋がある。あんたの写真も。(裁判所に)提出したっていいんだ」
「ガス室で死ぬまでの時間は1分?5分?」
「まさか。青酸ガスは効くまで15分かかる」
「正直さは少年の特権です」
「気でも狂ったのか。わしはこんな物(ナチスの軍服)は着ない!」
「僕は証拠を握ってる。そいつを着ろ。あんたの姿を見たいんだ」
「右向け右、進め!右向け右、進め!」
「わしに任せたまえ。君の親が生まれる前から書類を偽造してた」
「君はまだ人を殺すことを決心できないでいる。殺すパワーはあるか?」
「わからんのか。わしらは互いに、地獄の底まで一緒だ」
「人を殺す気分は?」
「隣にいたのはベンジャミン・クレイマー。バティンの強制収容所に10ヵ月いた。彼の妻と娘の死はお前の責任だ」
「フレンチ先生、約束しただろ?"未来が待ってる"と。僕は大学へ行くんだ」
「男子生徒に手を出すとは。それが離婚の原因か?」
「悪い噂を流せば汚名は一生消えない」