津軽系こけし

愚者ありきの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

愚者ありき(1914年製作の映画)
4.2
花でねじ伏せる


10年代後半から流行したヴァンプジャンルの確立を飾った作品。ゼダ・バラの艶めかしい悪女ぶりが、果てない憂鬱さを錯綜させている。
構えられた拳銃を、バラで撫でてねじ伏せるシーンが特に印象的。娼婦に通ずる彼女の病的な風柄と、危うい強大さを予感させる良い導入である。

あまりに劇薬的な堕落があるから、それに対比される娘・妻の純粋さに胸が締め付けられる。最後の廃人ぶりは抜け出せぬ底無しぶりを悪夢的に醸し出している。胸糞悪いがとても上品な仕上がりの作品。
津軽系こけし

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