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ファヴェーラの丘のpのレビュー・感想・評価

ファヴェーラの丘(2005年製作の映画)
3.5
ファヴェーラというのはブラジルにあるスラム街のこと。本作では、リオデジャネイロのヴィガリオ・ジェラウという地区に住むストリート育ちのアンデルソン・サーが自身の過去を振り返り、語っていくドキュメンタリー映画。元麻薬密売人や、町の住民たちの話をもとに構成された作品となっている。

ある日、警察と麻薬組織の抗争により、虐殺事件が起きた。巻き込まれた関係のない住民たち。アンデルソンの弟もそのときに、何の罪もないのに、警察に殺された。
どうしたら、こんな争いがなくなるのか。どうしたら暴力が止められるのか。アンデルソンは考えた。
そんなとき、アンデルソンはジュニオールと出会う。ジュニオールはアフロレゲエというチームを結成した。彼らは破壊と変革の神シヴァを信仰し、自分たちの人生の支えとし、虐殺事件に対する報復以外の道を模索し、現実に向き合うよう社会に呼びかけた。
アンデルソンは虐殺のショックから立ち直れず、何もかもうまくいかない時に、ある曲を書いた。そこで、ひらめいた。暴力を止められる最大の武器は文化だということに。音楽と文化によって変革を起こせばいいと思いついたのだった。音楽なら誰の心にも届く。それが答えだった。

溢れる怒りやどこにもぶつけようのない悲しみが、アフロレゲエを突き動かす力となる。そのパフォーマンスは大変迫力があり、見ているものを、興奮の渦に巻き込んでいく。アンデルソンはライブ中にも言う。ファヴェーラは真面目に働いている人が大半である。ファヴェーラに住んでいる子どもたちのためにも、この状態を変えていかなくてはならない。自分たちができるというところを見せなくてはならない、と。アンデルソンの声にみんなが耳を傾ける。
途中、アンデルソンにある危機が訪れる。もうダメかと思った最中、神の啓示を受けてアンデルソンのもとに来たという老婆に出会う。このときのエピソードは鳥肌が立つくらいすごかった。やはり、彼らにはシヴァがついているのだなと思った瞬間だった。生きていたら、いろいろなことが起こる。辛いこと楽しいこと、それらを受け入れ、自分たちでいかによくしていけるか、死なずに生きていける道を探すか、数々の困難を乗り越えてきたアフロレゲエは本当に輝いている。まぶしいくらいに。力と勇気をもらえる映画だった。前向きな気持ちで、毎日を生きていこうと思わせてくれる映画だった。

http://www.pqnology.com/2015/04/blog-post_21.html
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