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白いリボンのryoのネタバレレビュー・内容・結末

白いリボン(2009年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ミヒャエル・ハネケの真面目系の作品。
封建制度、家父長制、厳格なプロテスタント。その中で小作人(労働者)・子供・女性が当然のように物の如く支配される。(主人公も例外ではなく、気に入った弱い立場にある少女を必死で幼い内に囲ってしまおうとする)。弱者は怒るが他に逃げる場所もなく、解決する方法もない。踏みつけられ歪められた彼らの情動の延長線上にいくつも不可解な犯罪が起こる。
当然の帰結のように思えるが、支配層は何故自分が憎まれるのか分からず本気で狼狽する。白いリボンや十字架のインコに象徴されるように「支配と愛」を同一視する者たちの姿が描かれる。その姿は「ある時代の話」ではなく現在まで続く普遍性を感じた。

本作において数々の事件の犯人は誰だかは確定的には分からない(おそらくそこは問題ではない)。元凶がどこにあるかは明確なのに本人たちにはどうしようもないという、劣化したコミュニティの精神的限界のような状況が続いていく。
第一次世界大戦で封建制度が崩壊する、その直前の時代、抑圧された村の姿が描かれる。
面白く観た。
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