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白い巨塔のkazu1961のレビュー・感想・評価

白い巨塔(1966年製作の映画)
4.4
▪️Title : 「白い巨塔(1966)」
Original Title :※※※
▪️Release Date:1966/10/15
▪️Production Country: 日本
🏆Main Awards :第17回ブルーリボン賞作品賞
▪️Appreciation Record :2020-151 再鑑賞
▪️My Review
ほんと、凄い作品です。ラストまでの緊張感とだんだん悪役の顔になっていく田宮二郎の凄い演技、そして大学病院の腐敗を軸にしたストーリー展開、その全てが相まって完成度の高い作品になっています。
映画も何度か鑑賞しましたし、子供の頃、本作の本質も分からずにドラマを観ていた記憶が蘇ります。そして、人気絶頂の時に映画、ドラマ共に主人公を演じる田宮二郎が自殺したことも。。。
まず、オープニングから、実際の開腹手術の映像が使われ、鮮烈な印象を与える幕開けです。作中でも実物の食道を扱うリアルなシーンを数回使っています。これは許可を取った上の実際の手術シーンです。まさか本当に手術している映像とは驚きですよね。
そして、印象的なのが、教授の総回診、これこそ大学病院権威の象徴です。オープニング後とエンディングでこれが行われるシーンは象徴的なシーンです。
本作は、医学界の派閥争いなどや誤診の裁判などを描いた山崎豊子の原作に、社会派の巨匠・山本薩夫監督が映画化した問題作です。
教授選挙の時は主人公財前の敵だった者たちが、裁判になると医学界の権威の為に一転して弁護をするなど、権力をめぐる人間の醜さが徹底的に描かれています。
そして、田宮二郎演じる財前と田村高廣演じる里見の絡みが最高です。
権力欲という自身でも制御しきれない化け物に取り憑かれた財前五郎の傲慢さと戸惑いの揺れ動き、そして彼の親友でもありライバルでもある里見脩二の正義との関係、その対比が素晴らしい。
そして、ドラマ版との対比ですが、映画版の良いところはやはり脚本の緻密さだと思います。この点において原作よりもクオリティが高いと感じます。映画では原作の通俗的な部分をカットし、物語全体のトーンをクールに処理しているため全般に渡って緊張感と悪の匂いが充満しています。
エンディングも日本映画としては珍しい終わり方。里見が振り返って見える、浪速大学病院。あくまで浪速大学病院は、『白い巨塔』という国家権力のような、逆らうことができない一大組織だというわけです。
素晴らしい原作と素晴らしい脚本、演技、日本映画の傑作の一つですよね!!

▪️Overview
昭和三十八年から山崎豊子が「サンデー毎日」に連載した同名小説を橋本忍が脚色、「氷点」の山本薩夫が監督した。(参考:映画.com)

出演は、田宮二郎、田村高廣、小川真由美、東野英治郎、小沢栄太郎、滝沢修、船越英二。第40回キネマ旬報ベスト・テン第1位。昭和41年度芸術祭賞。
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