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どん底のkazu1961のレビュー・感想・評価

どん底(1957年製作の映画)
3.8
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2021-684 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋凄くシニカルな作品ですね。。。救いようが無い社会の底辺に生きる人々を描いた作品です。黒澤監督がゴーリキイの同名戯曲を題材に舞台を原作の帝政ロシアの貧民窟から、江戸の場末の棟割長屋に移して描いた作品です。時期的には、『蜘蛛巣城』と『隠し砦の三悪人』の間に制作された作品で、棟割長屋のワンシチュエーション物語ということで短期間・低予算で作られた作品のため、ある意味マイナーな作品かもしれません。。。

🖋前述の棟割長屋を舞台に、社会の底辺に生きる人々の人生模様をシニカルな中にも庶民の落語的なユーモアを交えながら、個性のある住人たちの台詞と演技の応酬で魅せていく作品になっています。なので演技力優先、黒澤組のオールスター総出演という形で敢えて主役を置かない形式をとっています(中心人物は敢えて言うと左卜全か?)。三船敏郎ですら一住人役です。

🖋物語自体はある意味地味ですが、落語的な小話が挿入されたり、日本的なラップのような魅入ってしまう謡など、観客を飽きさせない脚本はやはり素晴らしいです。そして10分を超えるような長回しが何度か、この辺りは黒澤作品ならではですね。

🖋Wikipediaに書かれてましたが、黒澤作品の中では、三船敏郎が出演しながら志村喬が出演していない唯一の作品でもあるようです(笑)。

😅Story:(参考:Amazon )
四方を囲まれ陽の当たらぬ江戸の場末の棟割長屋。汚れ、荒れ果てたこのアバラ屋には、もはや人間であることを諦めた連中が住んでいる。年中叱言を云っている鋳掛屋。寝たきりのその女房。生娘のような夢想にふける八文夜鷹。中年の色気を発散させる飴売り女。人生を諦観しきった遊び人。アル中の役者くずれ。御家人の成れの果て“殿様”。そして向う気の強い泥棒捨吉。だが、外見の惨めさに反して、長屋には自惰落な楽天的な空気がただよっていた。或日この長屋にお遍路の嘉平老人が舞い込んできた。この世の荒波にさんざんもまれてきた老人は長屋の連中にいろいろと説いて廻った。

🔸Database🔸
・邦題 :『どん底』
・原題 : ※※※
・製作国 : 日本
・初公開 : 1957
・日本公開 : 1957/09/17
・上映時間 : 137分
・受賞 : ※※※
・監督 : 黒澤明
・脚本 : 黒澤 明、小国英雄
・原作 : マクシム・ゴーリキー
・撮影 : 山崎市雄
・音楽 : 佐藤勝
・出演 : 三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、中村鴈治郎

🔸Overview (参考:Wikipedia)🔸
ゴーリキーの同名戯曲を、黒澤明監督と小国英雄が翻案。陽の当たらない、江戸の場末の棟割長屋に暮らす人々の人生模様をユーモラスに描いた辛口辛口群像劇。黒澤としては珍しく短期間・低予算で仕上げた作品といわれる。入念なリハーサルを繰り返し、本番では複数カメラで一気に撮り上げた。物語のほとんどが長屋の中で展開されていながら、極限の臨場感と緊張感を見るものに与える複数カメラ演出が光る。
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