Tully

アメリカン・ギャングスターのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

前半の二人のストーリーが別撮りであったと聞き、この映画の構成の意図が理解できた。真っ直ぐな刑事が追う、一筋なギャング。お互いに一匹狼である。信じる事、それは 「自分」 悪の中で悪を貫くことはカリスマを生む。善の中で善を貫くことは軽蔑を生む。この男達は共通して 「信念」 という心に包まれた 「自分」 との戦いに身を投じる。悪の中の悪は女に心と信念を動かされる。そして、自分という存在を知らせたくない世界に知らせてしまう。女はそうする事が男にとって良いことだと信じている。善の中の善は女に愛想をつかされる。そして、自分しかいないという孤独な世界を思い知ることになる。女はそれが男にとって気づきとなることを願う。しかし、この二人の男が信じるのは自分。貫き通した生き方はやがて善と悪の結末を迎える。そして、笑顔で答える悪の姿に友情を感じる善の男。善を貫いた男に敬意を払うがごとく微笑む悪。最終的なテーマは最も裁かれるべき善を着た悪である。何かをもたらした信念の男達とは違い、自分達の為だけに何かを動かした卑怯な男達。信念を貫くことは心を隠さないことだ。心を隠した男達は裁かれて気が付くだろう。悪を行うことも、善を行うことも出来ない情けなさを。残念なことは冒頭の別撮りの意味をもっと深く表現して欲しかった。二人が今もなお友情で結ばれていることを後日談で聞いた。なのでその 「共通点」 の表現があればラストに納得できたのでは、と思った。この時間の中におさめてしまった事が善いのか悪いのか。皆さんで一度考えてみてください。
Tully

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