ブルームーン男爵

東京物語のブルームーン男爵のレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.8
古典的傑作。今更ながら視聴したが、とてもじんわりときた名作である。せっかく上京した両親を厄介者扱いする子供たち。一方で、そんな態度に気落ちする老親を、血のつながりはないが温かくもてなす義理の娘。血縁の家族だから心の距離が近いわけではないのだ・・・。

血の繋がりを超えた純粋な人間のつながりを淡々と描いているが、不思議なほどに共感してしまう。よくある家族のエピソードを見事に昇華して映画化し、普遍的な家族の在り方を描写している。海外での評価も高いことからも本作の描くテーマが普遍性であることが分かる。家族関係というのは、時代を経ても変わらないのだなぁとしみじみしてしまった。

人を感動させるのに高画質である必要も、過度な演出も、奇抜な映像も、トリッキーな展開も必要ない。淡々と描かれたその真実の純粋さに人々は共感するのだ。