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シービスケットのtakatoのレビュー・感想・評価

シービスケット(2003年製作の映画)
4.3
彼は彼を見出し、彼も彼を見出した。大恐慌時代のアメリカの名馬「シービスケット」の物語。「みどりのマキバオー」は、この馬をモデルにしてるんじゃないか?と思えるくらい似ている物語。どうしようもない駄目馬が、駄目調教師、駄目ジョッキーと出会うことで奇跡を起こす。町山さんオススメの一本だったので視聴。町山さんの仰る通りで、傑作というわけじゃないし、大作というわけじゃないけど、良心的な一本。

 とにかく駄目人間たちのキャラが立っている。「スパイダーマン」でお馴染みトビー・マグワイアであるが、本作の駄目ジョッキーのキャラの方がハマっている。ジョッキーにしては体が大きすぎ、さらにすぐキレる上に、実は大変な秘密を抱えているというダメダメ人間、しかし、それ故に駄目馬あつかいされて可能性を見放されていたシービスケットへの共感を持ち、最高のパートナーになる。調教師のクリス・クーパーも良い味だしている。寡黙で、穏やかで、昂ぶることなく、静かな知性を湛える元カウボーイというキャラにピッタリ。

 単に彼らの成功譚ではなく、大恐慌から立ち上がるアメリカの象徴としての彼らの姿という点も上手い!。弱肉強食のアメリカではなく、欠点があろうと諦めない真の強さ、人生のセカンドチャンスに生きる人々の物語。
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