がぶりえる

肉弾のがぶりえるのレビュー・感想・評価

肉弾(1968年製作の映画)
3.7
岡本喜八らしい皮肉全開戦争映画

独特の台詞の言い回しとクセの強いキャラが漫画の様。ナレーションでキャラクターが心の声をボソボソと独り言の様にボヤくところがいかにも岡本喜八的。自問自答を繰り返したり、特に意味のない計算式の反芻を頭の中で何周もしたりすることで、なんとなく心が落ち着くというか、自分の殻の中に閉じこもっていることが気持ちいい様な感覚はちょっと分かる。この内向的なオタク精神みたいなところが、岡本喜八が黒澤や小津といった巨匠監督ほどメジャーになれなかった理由であり、最大の魅力でもあり、彼をカルト監督たらしめるものだと思う。

軽妙で、シニカルで、ポップで、重い。笑いと恐怖が絶妙なバランスで混じり合う不思議な戦争映画。ただ、しっかり反戦映画ではあるは間違いない。笑えることで、逆に戦争の空虚さが増強される。「本当に馬鹿馬鹿しいことしてるよな、戦争って...」ただただそう思わされる。