マイノリティ

冬の華のマイノリティのレビュー・感想・評価

冬の華(1978年製作の映画)
3.5
なるほど! そりゃ心酔するファンもいる訳ですね!

今作で初めて名優、高倉健主演作を鑑賞しました!

組を裏切った兄貴分を殺害した加納秀次。

その兄貴分には3歳になる娘、洋子が居て、幼い彼女から父親を奪ってしまったという、償いと贖罪の為に「洋子の一生の面倒を見る」と決め加納の舎弟、南に託し旭川の刑務所に服役します。
彼は毎日毎日、洋子と文通し心を通わせます。

それから15年後。

出所した加納は子分の運転する車で洋子を待ちます。

「あの子が洋子さんです」
と子分。

クラスメイトと談笑しながら向こうから歩いてくる高校生の洋子は誰よりも美しく可憐でした。

子分に直接会う事を勧められますが、車のバックミラー越しに見る加納。

「俺は"ブラジル在住のおじさん"でも何でもない。君のお父さんを殺した殺人者だ」

何てとてもじゃ無いけど言えません。

それから加納は組長に出所の挨拶に向かいますが、15年という年月は何もかもを変えていました。

それは極道の世界も例外では無く、加納の出所祝いは、絵。

周りの奴らはよく分からない外車を「買うだの買わないだ」の話。

シャーガルだかシャガールだか知らないけど、全く追いていけない加納。

かつて"人斬りの秀"
と名を馳せていた彼の時代の終わりを痛感した彼は足を洗う事を考えます。

そんな彼の唯一の楽しみが、洋子もよく来るクラシックのかかる喫茶店でコーヒーを飲む事でした。

彼女に声をかけたい気持ちを押さえて軽くお辞儀をする加納。
それに応える洋子。

洋子の机には"ブラジルのおじさん"、いつ帰国するの?会いたい。
の文字が。

そんな時、関西の組が勢力拡大の為に加納たちのシマに現れ始め・・・。

決して多くを語らず義理人情を重んじ、亡き兄貴分の娘、洋子を陰ながら見守る昔堅気の男、加納秀次を高倉健が演じていました!

何なんでしょうね?

あの独特の雰囲気、オーラ!

まぁ渋い!
ただ座ってるだけ。
ただ立ってるだけ。
それだけで絵になるし説得力があると思いました!

めっちゃ細かいんですけど、組の人間と飲みながら話を聞いているシーンで、グラスを見つめながら、グラスを持った方の手で撫でたり指先を動かして水滴を取るみたいな仕草をしたり。

何かそのシーンがぞくっとしました!

あと洋子を演じた若き池上季実子さんがめっちゃ美人!

夜のお仕事のお姉さんを演じた賠償美津子さんがめっちゃ美人!

そしてキャストが超豪華!
田中邦衛、峰岸徹、夏八木勲、寺田農、北大路欣也等々!

やっぱり健さんの脇を固める役者陣も超一流ですね!

ただ、ストーリー展開がグズグズだったのと、小林亜星の演技が大根以下で、イライラしました。

しかし、加納と洋子とのシーンはどれも良かったです!
加納と洋子の距離感
洋子宛の手紙(加納のナレーション)
何度か電話するけど途中で切ったりとか、終盤の喫茶店のシーンとか、切なかったです。

本当、何とも言えない表情するんですよね!

ストーリー展開が残念でしたけど思う存分高倉健の魅力を堪能させて頂きました!





「お嬢さん、何かの間違いじゃございませんか?」