ヒデ

ゆれるのヒデのネタバレレビュー・内容・結末

ゆれる(2006年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「猛。俺が有罪になったら、どうなるんだろう?」

ある日、兄弟と幼馴染が3人で行った渓谷で、幼馴染が吊り橋から落ちて死んでしまう。兄は自ら「突き落とした」と罪を認めるが、遠くから見ていた弟の目に映っていた真実とは…。

オダギリジョーと香川照之の迫真の演技が凄い。特に香川照之の豹変っぷりはホラーだった。面会に来たオダギリジョーに唾吹きかけるとこヤバい。

吊り橋のシーンの真実は最後の最後まで分からず、結構何度も「真実っぽい」シーンがイメージとして入る。そのため兄の見え方はコロコロ変わり、フラれた腹いせに殺した犯罪者に見えることもあれば、後退りした幼馴染がただ自分で落ちていっただけに見えることもあった。兄という人間への評価の定まらなさも、『ゆれる』というタイトルの一つの意味なのだと思う。(実際は助けようと手を掴んだが手をすり抜けて落ちてしまい、手に引っ掻き傷ができた)

人を疑い信じない一流写真家の弟と、劣等感に苛まれるガソスタ勤務の兄。兄弟間に生じた優劣・嫉妬・コンプレックスが話の中心にあり、そこに対して最後は一つのカタルシスが得られる構成になっている。

ラストシーンの兄はバスに乗ったに一票。7年服役して、ようやく"自由な人生"を手に入れられたのだから。


以下、セリフメモ。


「俺、自白して良かったって思ってる。あの狭い街の中でね、幼馴染の女死なせたレッテル背負って生きていくって、どういうことかわかる?」

「なんで俺ばっかり?なんで俺とお前(の人生)はこんなに違う?俺ばっかりだよぉ…」

「僕があそこにいなきゃですね…あの人はまだ生きてるんですよ」

「お前は俺の無実が事実だと思ってる?自分が人殺しの弟になるのがイヤなだけだよ」

「僕の兄貴を取り戻すために、自分の人生を懸けて、本当のことを話そうと思います」

「誰の目にも明らかだ。最後まで僕が奪い、兄が奪われた」

「にいちゃーん!家に帰ろうよー!!」
ヒデ

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