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エターナル・サンシャインのkuuのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
4.0
『エターナル・サンシャイン』
原題Eternal Sunshine of the Spotless Mind.
製作年2004年。上映時間108分。
米国映画。

ジョエルは元恋人クレメンタインが、ラクーナ医院で特定の記憶だけを消去する施術を受けてジョエルの記憶を消したことを知り、自分も彼女の記憶を消そうと同じ施術を受ける。
だが、クレメンタインを忘れたくないジョエルの深層意識は施術に反抗、自分の脳内のクレメンタインの記憶を守ろうとする。

今作品は、ある意味でアーティスティックな作品って個人的に感じます。
ジム・キャリーが至極普通の人(あくまでジム・キャリーの演じてきた役柄を見てきた上で)でケイト・ウィンスレット(タイタニックと全然ちゃうやん)がイカれた女子ってのが新鮮です。
それも、意外にいがいで、普通に見れる不思議な作品ってか役者さんが巧いんでしょう。
時系列の混乱しかねないためにも彼女の髪色に注目するんもええかもです(青、オレンジ、赤、緑、茶色のいくつかの色の変化を経てる、また、ヘアカラーじゃなくカツラを使こてるそうです)。作中に『さよならぐらい云ったことにしましょ』ってセリフは切ないたらありゃしない。
刹那的で切な過ぎる。

ところで、
この『エターナル・サンシャイン』の原題『Eternal Sunshine of the Spotless Mind(一点の汚れもなき心の永遠の陽光)』
は、映画の中でメリー(キルステン・ダンスト)が云うよう、18世紀のイギリス詩人アレキサンダー・ポープの恋愛書簡詩
『エロイーザからアベラードへ』からの引用やそうです。
これは、12世紀仏国に実在した神学者ピエール・アベラールと弟子の女性エロイーズの書簡を元に、ポープは詩を編んでる。
2人の『主体的恋愛』てのは、ジャン=ジャック・ルソーの
『新エロイーズ』や、
シェイクスピアの『ロミジュリ』に影響を与えたって代物。
これはロマンチックなだけの純愛物語じゃなく、アベラールは娘ほど年の離れた弟子エロイーズを落とすためにジジイの老練な手管を使う。
エロイーズは、アベラールに結婚を申し込まれても『私は妻より愛人と呼ばれたいの』って、所有されるってことを拒否る。
彼女は修道院入りし、2人の関係を知って怒り狂ったエロイーズの叔父はアベラールの性器をチョッキン切断しよる。
この実話ってのは男女の噛み合わない心ちゅう現実を教えてくれる。
“How happy is the blameless vestal’s lot!
The world forgetting, by the world forgot.
Eternal sunshine of the spotless mind!
Each pray’r accepted, and each wish resign’d.”
 愚訳しますっと
“罪のあらへん修道院にいられるってことは何ちゅう幸せ!
世界を忘れ、世界からも忘れられてる場所(許しが存在する場所)
ゲガレのあらへん心に宿る永遠のひかり
全ての祈りは答えられ、全ての願いは神に委ねられる”
ちゅう宗教的な詩。
神への賛美の詩かな。
最後に『アーメン』入れときゃ完璧。エロイーザが修道女であることを踏まえりゃ、
『永遠のひかり(エターナルサンシャイン)』は神をメタファーしてることになるかなぁ。
分かり易い感じにすっと
『なんちゅう幸いなことかんや。
純真無垢な心、許す心は。
彼らは永遠の光によって導かれ全ての祈りは答えられる』
こんな感じかな?
日本語字幕じゃ表現しにくいかなぁ。まぁ『エターナルサンシャイン』は恋愛映画の傑作かなって私的には思いますし、それこそ永遠の光の永久保存の作品やと思いま。
『ロード・オブ・ザ・リング』のフロド・バギンズ役と云うよりも『ゾンビスクール』のヘタレ先生役よりのイライジャ・ウッドが出てたんは、なんか笑けたかな。
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