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まだらキンセンカにあらわれるガンマ線の影響のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

3.8
【作業中】
「親ガチャ外れた!」とか言うてる今の子供達に、
この二人の姉妹を観て欲しい(笑)

夫に先立たれた母親のベアトリス(ジョアン・ウッドワード)は何もかもうまく行かず、世を恨んでいつも悪態をついている。観ていて痛々しい感じは「ブルージャスミン」のケイトブランシェットの役どころとかに近い。

この母親に振り回される長女・ルース(ロバータ・ウォラック)と次女・マチルダ(ネル・ポッツ)はそれぞれ全然違うやり方で足搔いているのが面白い。

活発な性格のルースは、チアリーディングに夢中になったり彼氏を作ったりして
奇抜なコメディ寸劇をしてクラスメートを笑わせたり、やさぐれた言動をしたり。
戯ける事、悪態を着く事が厳しい現実への彼女なりの処世術のように観えて切ない。

母親ベアトリスも学生時代全く同じ事やってた事が示されて笑った。
ルースは言わばベアトリスの遺伝子をそのまま受け継いだ子供。

マチルダは物静かで内向的な性格。ウサギを大切に大切に育ていて、小さな体でウサギを抱きかかえる姿が得も言えずいじらしい。
学校の課題で「まだらキンセンカにあらわれるガンマ線の影響(原題;The Effect of Gamma Rays on Man-in-the-Moon Marigolds)」を研究している。
まだらキンセンカというのはマリーゴールドの一種で、
コバルト60から放出されるガンマ線をマリーゴールドの種に当てる時間の違いにより、発芽して成長するマリーゴールドがどのような変化を与えるか、という研究。
この研究は、学校の研究発表会で優勝する事になり、一躍学校内で有名人になる。
研究発表から、ある一定の時間ガンマ線を当てたしゅしからは、突然変異のマリーゴールドが発生する事がわかる。

意図的にベアトリスのような不良少女から突然変異的に、次女マチルダのような秀才が生まれた事と重ね合わせているのが巧い。

研究発表会の優勝スピーチに間に合わなかったベアトリスが、やっとの思いで娘への気持ちを吐露するシーンが感動的。

ただ、結局ベアトリスへの救いはないのだろうかと思った。突然変異のようなマチルダを生むための存在なのだろうか。
亡くなったウサギと、あのラストの意味はナンナのだろうか。

マリーゴールドの黄色、ウサギの白色。
草原の緑色とベアトリスの赤色の洋服。
古い映画ながら画面の色彩設計は素晴らしかった。
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