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君がいた夏のTOTOのレビュー・感想・評価

君がいた夏(1988年製作の映画)
4.5
「デヴィッド・フォスターによるメインテーマが涙を誘う――」

1988年の隠れた名作です。
監督はスティーブン・カンプマン。
主演はジョディ・フォスターとマーク・ハーモンです。
原題は『Stealing Home』で、本来の意味は野球のホームスチール(本盗)を意味しますが、これは主人公ビリーが野球選手と言う設定と、ある事をきっかけに故郷に帰るストーリーから、ダブル・ミーニングになっているのだろうと推測します。ソースがどこにもないので勝手にそうだと言い切ります。エヘン。
 
こんなお話です――。かつてメジャーリーガーとして活躍した主人公ビリーは、今では全盛期を過ぎてマイナーリーグに落ち、怪我の影響もあって無気力な日々を過ごしています。
そこに届いた六歳年上の従姉・ケイティーの死の知らせ。
その遺言では「遺灰はビリーに託す」とされており、具体的な心当たりのないまま、ビリーは生まれ育った故郷・フィラデルフィアに帰ります。
ケイティーはビリーが幼い頃から親しみ、恋焦がれてきた初恋の相手でもありました。
またビリーが子供から少年、そして青年から大人の男に育っていく過程を、一番近くで見守ってくれた存在でもあります。
故郷に戻り、どうする当てのないままケイティーの遺灰を抱え、懐かしい旧友たちと邂逅し、かつての恋人とも気まずい再会をし、ケイティーが連れていってくれた場所を訪ね、二人の思い出を回想します。
それはとてもセンチメンタルで甘酸っぱい旅路です。
そしてビリーはケイティーと過ごしたあの夏の日を思い出し、あの日、二人が交わした会話に思いを馳せ、ようやくケイティーの遺灰をどうすべきか、答えに辿り着くのでした。
やがてビリーはケイティーとの約束を果たすと、前を向き、青春時代の思い出にケジメをつけ、再びベースボールのグラウンドに戻って行くのでした。

物語の大事な場面で必ず流れる、デヴィッド・フォスターが手掛けたサウンドトラックが素晴らしく秀逸です。特にメインテーマ『Stealing Home』は何度聴いても目頭が熱くなります。
派手な映画ではありませんが、彼らと同じように過ぎ去りし郷愁と甘酸っぱい思い出を抱える人ならば、きっと見て損のない名作です。
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