ムック829

その男、凶暴につきのムック829のレビュー・感想・評価

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)
4.0
友達の紹介で警察になった?曲がったことが許せない寡黙な暴力刑事の話。

「首」を観て北野映画をほとんど観たことがないことに気付き、これを機にと思い鑑賞。
いや面白かったですね。若いたけしの色気の溢れ具合が半端なくとにかくカッコいい。
突如として振るわれるたけしの暴力行為はなかなかにバイオレンスだけど、割りと納得いくものが多くて気持ち良くすらあった。
浮浪者に暴行を加えても平気な顔の少年に、問答無用のキツイお仕置きをくれたりして。こういう暴力なら必要かもと思ってしまう。
ストーリーもどうなって行くのかワクワクしたし、なにより台詞を極力抑えているのが素晴らしかった。

普通何か喋るだろうというシーンでもことごとくだんまりで、喋っていたとしても引きのシーンで聞こえなかったり。
余白を残すからこそ想像力を掻き立てられて、それが実に映画っぽくて良かった。
首のレビューで「こんなに喋りまくるのは北野映画じゃない」と言っていたフォロワーさんがいたけど、その意味がよくわかりました。

白竜の気持ち悪さは異常。見るからにヤバいオーラがプンプンしていて凄かった。
不穏で物憂げな感じの音楽も映画の世界観にマッチしていて凄く良かったですね。

北野映画を正直なめていたけど初監督作品とは思えない完成度に驚き。世界の北野と云われる理由がちょっとわかりました。
そして今時は許されないけれど、時には暴力も必要なのかなと思わされる映画でした。
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