ズボラな離婚歴ありの男の家に几帳面で料理もこなしてしまう離婚で傷心中の男が転がり混んだことがきっかけで起きる珍騒動が良い。性格が正反対の中年男同士の同居をテーマにしたコメディを60年代にやってのけてしまうのは早すぎる。

おっさんたちが脂ぎった顔を並べて口をモニョモニョさせること。フレームインしたジャックレモンの移動をカメラがぬるっと追うこと。

劇作家ニール・サイモン氏が亡くなった、ということで、追悼特番編成として今回レビューに取り上げるのは、代表作中の代表作「おかしな二人」。

ジャック・レモンとウォルター・マッソーの代名詞となったタイトルだけど、元々はブロードウェイのヒット舞台劇。

ちなみにニール・サイモン自身がリライトした戯曲で「おかしな二人」女性版もあるそうな。

オリジナル舞台版は、ずぼらなオスカー役のマッソーはそのままだが、潔癖症なフェリックス役を演じたのはアート・カーニー。「ハリーとトント」の主人公ですな。

で、映画化が決まった際、当初マッソーはフェリックス役を希望したけど、すでに舞台でのウォルターの名演を見ていたレモンが、オスカー役はこの人しかあり得ない！！と進言して、今のキャストになったという。

さて、あらすじは……。

奥さんと別れ、週末に仲間とポーカーを興じたり、女の子とデートしたりといまや独身生活をエンジョイするスポーツ記者のオスカー。

ある夜、友人の新聞記者フェリックスが蒸発したことを耳にする。理由は長年連れ添った奥さんとの破局。彼の性格から自殺するのではないかと心配するオスカーのもとに、なんとフェリックスが転がり込んでくる。

案の定、すっかり気落ちしてしまったフェリックスを、オスカーは落ち着くまで自分の家にしばらく泊まらせるのだが……。

劇中、何でこの二人が奥さんと別れることになったのかすぐにわかります苦笑

それぐらい二人のずぼらと潔癖症が度を超していて、両極端すぎて面白い。

落語の「長短」のように、全く真逆のキャラクターがひとつ屋根の下に住むことになったら……というシチュエーション・コメディなので、腹抱えて笑うというよりは思わずそのウィットに富んだ会話にクスッと吹き出すような作品。

ただ映画化するにあたり追加されたと思われるうちひしがれたレモンが夜の町を徘徊（？）する冒頭１０分近くあるシーンは、やっぱり本編の会話劇の可笑しさと比べるとパワーダウンしているように思う。

■映画 DATA==========================
監督：ジーン・サックス
脚本：ニール・サイモン
製作：ハワード・W・コッチ
音楽：ニール・ヘフティ
撮影：ロバート・ハウザー
公開：1968年5月2日（米）／1969年4月26日（日）