スワヒリ亭こゆう

スケアクロウのスワヒリ亭こゆうのネタバレレビュー・内容・結末

スケアクロウ(1973年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジーン・ハックマンとアル・パチーノが共演した70年代の名作です。午前十時の映画祭で観賞しました。

本作の評判の良さは知っていたんですけど、この映画が製作された当初はアル・パチーノよりもジーン・ハックマンの方がクレジットが先に来ているので格上だったんですね。年齢的にもジーン・ハックマンの方が10歳ぐらい上なんですね。
カンヌ映画祭でグランプリ(この頃はパルムドールは無くてグランプリが最高賞)を獲得した本作。
二人の性格も見た目も正反対の男の友情を描いたロードムービーです。
70年代のアメリカのロードムービーはやっぱり面白いです。

アル・パチーノはこの頃は前年に『ゴッドファーザー』が公開されている。ですが、まだマフィア役が似合う俳優というよりも若者の代弁者のイメージです。
顔が男前でカッコいいです!

で、この映画はロードムービーなんですけど、行き先は決まってるんですね。
ピッツバーグに行って二人で洗車屋をやろうと張り切ってる2人。ピッツバーグへ行く途中、アル・パチーノ演じるライオンはデトロイトに残してきた奥さんと子供がいて、5歳になった子供にプレゼントを届ける為に寄り道するという話です。
ライオンは子供が生まれる前に奥さんを置いて船乗りになってしまい、子供の性別も知らない。
仕送りは続けていたけど、奥さんと子供に会って謝りたいんです。


⚠️⚠️⚠️⚠️ネタバレ注意⚠️⚠️⚠️


⚠️⚠️⚠️⚠️ネタバレ注意⚠️⚠️⚠️


⚠️⚠️⚠️⚠️ネタバレ注意⚠️⚠️⚠️

旅の道すがら喧嘩っ早く女好きのマックス(ジーン・ハックマン)に迷惑かけられ、どちらかと言うとマックスがライオンを引っ張っていくんです。
喧嘩もあり、女遊びもして、警察に捕まったりもするけど2人は良いコンビなんですよ。
観ていて楽しい映画です。
警察に捕まり、1か月の刑務所暮らしをするはめになった時、2人は仲違いをする。
マックスの喧嘩に巻き添えになり、ライオンも警察に捕まったんです。
それなのにマックスは逆ギレしてるんです。それでもマックスを気遣うライオン。ライオンの性格の良さが表れています。マフィアのイメージの強いアル・パチーノですが演技派の一面が随所に見れる作品でした。

その後のエピソードも良くて、ゲイに襲われそうになりボコボコにされたライオン。それを見てマックスとライオンは仲直りする。しかもマックスはキチンとライオンの仇も取る。暴力を敬遠されがちな風潮があり、それは正しいことなんだけど正しくない事が必要な事も世の中にはあるんです。その人間臭さが本作の良さだと思います。

終盤、デトロイトのストーリーは本作を名作にした秀逸な展開だと思います。
アル・パチーノの演技力、絶望した男の姿は見事!
本作がアル・パチーノの名作になってしまうぐらいジーン・ハックマンを食ってしまいます。
絶望して狂ってしまい奇行に走る演技をやらせるとアル・パチーノは抜群に上手い。
ストーリーも勿論、素晴らしいんですけど、アル・パチーノという俳優が作品の出来栄えを押し上げた見事な映画だと思います。だからハリウッドで長く愛され尊敬される俳優なんだと思います。
ラストシーンのマックスも好きです。良いシーンで映画が終わりました。