あ

そして僕は恋をするのあのレビュー・感想・評価

そして僕は恋をする(1996年製作の映画)
-
SNS全盛期の僕たちにとって、あるいはそれらが関係の主要な手段になってる人間にとって、関係を断つというのは連絡を断つことで容易にできると思い込むことができるけど、この作品の登場人物たちは、恋愛だとか不倫とか友情とか家族とかの関係に入り乱れてるんだけど、みんな全然関係を切ることができない
そこに関係を断つというようなことがあるとすれば究極のところ死とか残酷な時の経過とかなんだろうけど、基本的に誰かが誰かとの関係を断とうとしているすればそこにあるのは、容易に取り払えない憎しみ・嫉妬・プライドか、あるいは愛していることと表裏の苦しさ(それは愛することと、愛されること関わる不可能性の予感みたいなもの?)があるってことで、だからこそ、そうは言っても関係はなかなか途切れないことを、それを手放さないことを描こうとしてるように思う
作中でもちらっと言及されていたけど、たぶんイプセンの『ペール・ギュント』からの影響は大きそう
全然関係ないけど最近濱口竜介の『寝ても覚めても』のイプセンの『野鴨』からのインスピレーションについての文章を読んだので、僕の中でイプセンが今アツい

例えば付き合ってた者たちが別れたあと、友だちに戻ったり、肉体関係だけ戻ったり、あるいは気まずい関係であれ関係が残ったりすることは自然なことな気がする
まったくもって関係が断たれる、わたしの世界にあなたは存在しない状態になるのは、その善悪を置いておいて、現代の病理と言えるかもしれない
あ