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どぶ川学級のmhのレビュー・感想・評価

どぶ川学級(1972年製作の映画)
5.0
公開当時(1972年頃)の学校問題がテーマの独立プロ作品。
学級崩壊や校内暴力が社会問題となるのは(1980年代なので)少し先の話。この映画では①学力差による生徒の選別。と、②体罰。③貧困層にとっての教育。このあたりが俎上に載せられている。
破天荒な家庭教師と、先の読めない展開が魅力的で、かなりの娯楽作に仕上がっている。楽しんでいるうちに赤い風にもなぶられる。
学校団体鑑賞にぴったりな作品になっているので、世代によってはよく知られたタイトルかもしれない。
独立プロ作品の毎度の資金難は前売券販売でカバーしたとのことが映像特典で語られる。それによると「ドレイ工場(1968年)」のスピンアウト的な設定とのことで、作中に登場する「全金(全国金属労働組合)」や、「第一組合」「第二組合」などは説明無しで登場する。
会社の雇った暴力団の下っ端みたいなこと(ビラをはがした枚数でお金くれるなんか)をやってる学校の不良とか、第一組合と第二組合の折り合いが悪いとか、なんとなく見てるとスルーしちゃうけど、このあたりの力関係が面白い。ざっくり、共産党員が争議を指導している第一組合と、会社側から優遇されてる第二組合は折り合いが悪い。ただ、労働者同士が対立してしまうと会社側の思うツボなので、第一組合は第二組合と反目しないよう気をつけているのだった。
父兄からアカだから通うのやめなさいといわれて、反発した結果、どぶ川学級が余計にアカっぽくなるの草。
「みんなが得しなきゃ、結局、損なんだ」は至言。会社側だけが得してきた結果が賃金据え置きガラパゴスの現代日本なので、時代とともに説得力が増してる印象。
クライマックスの生徒総会は、ほかの映画にはないライブ感もあって良かった。人力と熱意は独立プロの面目躍如。
「ドレイ工場」を見てからのほうが楽しめるけど、この映画だけでも楽しめる。その証拠に続編も作られている。「新・どぶ川学級」は日活作品か。キャストも引き継いでいる様子。見たいなぁ。アマゾンプライムに追加してくれないもんかね。
面白かった!
mh

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