実際にドラッグでラリった時の体験を映画にしてみたという、"B級映画の帝王"ロジャーコーマンが監督したサイケデリックムービー。
脚本はジャックニコルソン、主演がピーターフォンダ、そしてデニスホッパーも出演しており、『イージーライダー』のプロトタイプと呼べる、映画で初めてドラッグをテーマにした実験的な作品だ。
離婚寸前の状況に置かれているCM監督がLSDの幻覚作用を用いて精神世界を旅していく内に、幻覚に身を委ねたまま夜の街へと繰り出してしまうストーリー。
ドラッグによる幻覚の映像化がこの映画の全て。
なのでシナリオ、設定その他もろもろは完全に破綻しているが、『インセプション』のように様々な精神世界のイメージが入り乱れる映像表現には驚かされる。
本作を危険視したAIPが最初に注意書きを足し、ラストの変更も加えたことで、製作陣と製作会社の間に亀裂が生まれ、『イージーライダー』はコロンビアが制作することとなり、ロジャーコーマンは独立した映画会社"ニューワールドピクチャーズ"を立ち上げることとなる。
行き場をなくした若者が精神世界に逃れる、60年代のカウンターカルチャーを表した近代芸術的な作品です。
ドラッグダメ絶対。
「友人は皆やっていたが、神に近づくことはないだろ」
「あれが楽しいかって?」
「よしてくれ」
「パワーとは何だ?」
「神が彼らを創ったんだ」
ジャックニコルソン