Kientopp552

遥かなる大地へのKientopp552のレビュー・感想・評価

遥かなる大地へ(1992年製作の映画)
1.0
 本作の制作が1992年で、日本での上映も同じ年の夏である。ということは、日本のバブル経済がはじける直前のことである。そして、バブル経済とは、日本経済が、「ものづくり」の経済ではなく、土地投機に血道をあげていたことを意味する。それは、価値の新たな創造ではなく、金の土地への投機が、より金の額を増やすかもしれないというところで展開する経済であり、同時に、経済成長とは関係のないところで回る「金融資本」の論理の貫徹を意味していた。正に、カール・マルクスが資本主義の発展に関して予言していた通りである。本作でのテーマもまた、19世紀末のUSAにおける、土地所有への熱い願望であり、その意味で、本作は、日本のバブル経済での土地投機への熱狂と軌を一にするものである。この点、本作の日本での初上映が、1992年夏であったことに、何かの符牒を筆者は感ずるものである。2023年の現在から見て、ほぼ30年前のことであり、ある種の感慨の念を禁じ得ない。
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