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スモークのmayumayuのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
4.5
父は愛煙家‥というよりあれはたぶんタバコに依存だった。小学生の時は(今では許されないが)いまや存在しないタバコの自動販売機におつかいしに行った事もある。
愛煙家のみなさんには申し訳ないが、
タバコの煙は嫌いだ。職業上も禁煙を勧めなければならない。
でも、火をつける前のタバコの匂いは好きだった。父は日本の男性の平均よりだいぶ若くして亡くなってしまったため、もう会えない。指先が茶色くなった父の手を、この映画を見て久しぶりに思い出した。

ニューヨークの街角のタバコ屋さんを中心に店主とその友人である、妻を亡くした作家、作家とふとしたことから関わる若者、若者と12年会っていなかったその父。少しずつ重なりながら描いていく(オムニバスと言って良いのか?)映画。

人間だから。正しくない事してしまう事も、逃げてしまう事も、裏切ってしまう事もある。でも、誰かに親切にしたり、許したり、謝ったり。少しずつ人と触れ合いながら元気を取り戻したり、することもある。

展開はゆっくり。
出てくるのはおじさまが多い。
派手な映画ではないと思うけれど、見てよかった。

ランチで微笑み合う、ハーベイ・カイテルとウィリアム・ハート。
なんていい顔で笑うんだろう。
ハロルド・ペリノーは、若すぎて、マーキューシオやマトリックスの時と同じ人に見えなかったが、若い頃から演技うまかったんだな。アシュレイ・ジャッドのあんな役初めて見た。
フォレスト・ウィテカーは、こういう、粗野に見えて心に悲しみを抱え繊細さも併せ持つような、二面性のある役味があるなぁ。パニック・ルームとか、思い出す。
若者が小さな息子の頭を撫でる時の、夫婦の表情とか、忘れ難い。アシュレイ・ジャッドのセリフの後の表情とかも、忘れ難い。
こんな時代だから、ふとした瞬間に生まれる絆も大切に思えます。
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