アーリー

續姿三四郎のアーリーのレビュー・感想・評価

續姿三四郎(1945年製作の映画)
3.7
2023.10.11

まさかの続編。何となく昔の映画って一回きりのが多いイメージやし、「白黒の続編作品」がもう既に貴重な体験。

そして続編といえばこれというような綺麗な続編。前作と同じように王道。前作のラスボス檜垣の弟たちが復讐のため三四郎に果し状を出す。旅に出たはいいものの、自分の悩みを解消するどころかどんどんと深みにハマっていった三四郎。そこに海外のすぱあら、つまりボクシングと柔道の試合が行われ、武道が外人向けの見せ物にされた挙句ボコボコに負けるのを目の当たりにし、戦う意味を見失う。この作品、もしくは時代における、武道は見せ物やスポーツではなく、真剣勝負で時には命のやり取りも行うほどの格式高いものという意識がかっこいい。三四郎がいい奴すぎるのも主人公っぽい。やっぱり主人公は悩んでなんぼ。ルフィみたいに何にも考えてない感じもいいけど、苦悩を抱えたまま闇に走りそうな主人公がもっとあってもいいのにな。己の筋を通すのを最優先にする感じもカッコよくて好き。

あのヒロイン?の立場の女性とのロマンスが薄かったのが気になるところではある。愛する女性にけつ叩かれて前を向くのもいいけど、今作の三四郎はそれこそ自分の信念に従い自分だけで考え行動した。それはそれでいいのか。ただ前作でいつまでも待ってますみたいな感じやったから、もうちょっと報われるような展開、言葉が欲しかった。

映像の保存状態は前作よりも悪かった気がする。ノイズが多くて大きくて、何言ってるのかまじでわからんシーンがほとんど。和尚さんは何故か聞き取りやすいけど。背水の陣とかラスト敵を投げた後落ちていく姿とか、前作のオマージュもちょいちょいあってなかなか楽しめた。
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