Jimmy

滝の白糸のJimmyのレビュー・感想・評価

滝の白糸(1956年製作の映画)
2.5
京橋フィルムセンターで鑑賞。(「日本の初期カラー映画」特集上映)

何度か映画化されている泉鏡花原作のカラー映画。
若尾文子主演の「未ソフト化」映画なので観に行った。


冒頭場面では、見世物興業の同業者が手を組もうと持ちかけるが、「滝の白糸」と呼ばれる太夫=水島とも(若尾文子)が断ったことから、金沢まで馬車と人力車の競争が始まる。
「この競争だけで、よくこれだけの尺をつなげるな~」というほど長め。

その時に馬車屋が村越(菅原謙二)だったが、太夫が惚れてしまう。
ふとした二人の再会から、村越の願いだった勉学を太夫が資金援助することで合意、村越は東京の学校に通う。
太夫は「水芸」興業でせっせと稼いだ金を村越に3年間送り続ける。この「水芸」がカラー映画なので映えるなかなか良い場面で美しい。

ともは、一座のスポンサーを続けていた旦那から肉体関係を迫られたことから、旦那を刺殺してしまい、最初は逃げたりしていたが、結局は証人として出廷した際に「検事となっていた村越」に説得されて自白してしまう。
村越は「愛する人を検事として裁くなんて…」と嘆くが……と物語は続く。

若尾文子と菅原謙二の共演作は多数あるが、明治時代の微妙な風景の中で、山野や咲いている花がカラー映像で美しく描かれた映画であった。

ただ、溝口健二監督版と比べてしまうと、物語の改変含めて、歴然とした差を感じる映画であった。
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