「これがまことの純情や」恐ろしくまっすぐなのに歪んだ純愛のカタチ。
谷崎潤一郎『春琴抄』を新藤兼人監督が映画化。百恵ちゃんをはじめ、田中絹代、新しいところでは丁稚役で斎藤工なども演じていた何度も映画化されている有名作。ATGと谷崎潤一郎のエロティシズムは合いますね〜。
老人ホームに暮らす春琴の家にかつて勤めていた女中(乙羽信子)にインタビューするという形で物語は進んでいく。監督本人も出演。
裕福な薬種問屋の盲目の娘・春琴と彼女に献身的にご奉仕する使用人・佐助との歪んだ愛。春琴の口にご飯を運んでやり、厠へもつきそい、冷えた足を自らの懐に入れて温めてやり、透き通るような白い身体を夜ごと揉みほぐす佐助。献身の中で芽生える愛、控えめなSMプレイの連続に引き込まれます。ラストに究極の愛の形が訪れる。
ATGらしい描写の今作には、アングラ女優風なルックスの渡辺とく子さんがハマリ役。独特の個性を放ち、艶めかしい。今作がデビュー作で、彼女はその後日活ロマンポルノなどに出演したとのことです。
こんな強烈でまっすぐな愛、谷崎文学は苦手だけどこれは面白いっ。ATGだけあってクセありです。