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タクシードライバーのwisteriaのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.6
Netflixで配信開始!
ということでかなり久しぶりの再鑑賞。若き日のマーティン・スコセッシ監督+ロバート・デ・ニーロ主演、少女時代のジョディ・フォスターが蓮っ葉で可憐な娼婦アイリスを演じている。

再見してまず思ったのは、デニーロ演じるトラヴィス、孤独かつ陰鬱で手前勝手な妄念に駆られるベトナム🇻🇳帰りのタクシー運転手という私の記憶の中のキャラクターからすると思ったよりアクティブやん、というか、こういう人物で日本だとステレオタイプ的に描かれがちないじけた陰キャの暴発みたいなのとはかなり違うなーと。シビル・シェパード演じるゴージャスな才女ベッツィへのアプローチ方法などなかなかに感心する手際で、あそこでピンク映画🤣なんかに連れていかなきゃもっとうまくやれてたのかも、と思わせるくらいにはアクティブ。ここら辺の感じは意外と女性にモテるホアキンの『ジョーカー』にも通じるところかと。それとか不眠症の男が日記書いて鬱屈した思いを亢進させていくくだりなんかは新作の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のブルース(ロバート・パティンソン)を彷彿とする。確かに巷間指摘されているように両作品への影響は大きいなと確認。

ラストに描かれるトラヴィスの暴発する暴力の方向性について、いったんは次期大統領候補の政治家の方に、社会の上流へ向かって遡っていくも、紆余曲折あって結局は押し返され、ついには売春宿へ、下流へ向かって流れていってしまうところに悲哀とある種のリアリティを感じずにはいられなかった。弱い者達が夕暮れ、さらに弱い者をたたく?その悲しみに最晩年のバーナード・ハーマンのメロウな劇伴音楽と雨降るニューヨークの明滅するネオンの灯りがしっとりと寄り添う。エンディング、忘れてたけどこんな感じだったのか……若い頃初めて観た時よりずっと心に沁みました。。
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