ドント

未来警察のドントのレビュー・感想・評価

未来警察(1985年製作の映画)
4.2
 1985年。めっちゃ面白い。日常にロボット(と言っても人型ではなく四角くてアームがついてるタイプ)がいる近未来、ラムジーは「虫取りロボットが暴走しただ!」「荷物運搬ロボが石灰を投げ捨ててます!」などの故障に対処する警察のロボトラブル課。そんな彼と相棒が家事ロボット暴走を契機に、ある事件に巻き込まれ……
 平和な映画である。ものすごいCGとか超アクションなどはないし、巨大マシンが街を潰すなんてスペクタクルもない。あるのはロボトラブル課の日常と、時々緊張する仕事と、そんなに巨悪ではないわるいやつの悪行である。世界観はレトロフューチャーといった程度で、ドローンやルンバやメシ運びロボみたいなのが古いデザインでうろついている。
 しかしそういった世界が過不足なく、いい具合のおおらかさと共に十全に描かれている。人間ドラマはごくあっさりと済ませていて胃にもたれない。スリリングな場面は品がよくてとてもコワい。編集とか演出にも気取ったところはなく、ごく当たり前な感じでスッ、スッと映され語られていく。こういう当たり前さ、すごいショットを撮ろうとか突飛な映像を撮ろうとかいう力みのなさがとてもありがたい。とにかく心地よいのだ。であるが故に、追尾弾のバビューン!ぶりがより楽しい。
 レトロフューチャーな武器やメカメカしい機械も懐かしくてよい。だがゆるいわけではないし、逆にギチギチに締め付けているのでもない。自然に背筋が伸びているのだ。古きよきおもしろいB級というのはこういった、ゆったりしつつも退屈な時間がない映画のことを言うのではないか。
 あと、序盤で見せておいた高さと落ちる感じを、クライマックスで倍にして返してくるあたりの上手さね。ニクいですね。自分も高い所がダメなのでこの映し方のいやらしさが存分にわかる。ラムジーが「ア……ア……」と覗くシーンのあの時間のたっぷりした使い方ったらない。怖い。憎い。こういう作品が週に1、2本観れたら幸せだと思う。でも、高いところは勘弁な!
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