Natsuクルーズ

陽気なギャングが地球を回すのNatsuクルーズのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「銀行強盗も、市役所の公務員も、生きていくのに大切なのはイマジネーションだ。」




伊坂幸太郎作品の映像化第一弾。

人間嘘発見機、演説の達人、天才スリ、正確な体内時計。

この4人が出会ったとき物語は動き出す。

『チルドレン』にも似た出だしの今作は、意外にも軽妙なタッチの作風で、後に『重力ピエロ』でも似たような境遇の役を演じる鈴木京香が、切なくもワイルドでカッコイイ。

伊坂らしい独特のPOPな会話とヒネリの効いた展開が炸裂し、そこらへんのサスペンスコメディのハードルを軽く超えてくる。

『アヒルと鴨のコインロッカー』とも裏で設定をリンクさせつつ、表向きは役者の松田兄弟でも繋がっている。

完璧だと思っていた人生の歯車が狂いだした時、人は何を頼りにそれを切り抜け、どう乗り越えるのか。

そして最後に笑うのは誰なのか。

いつも伊坂幸太郎の世界はそんな問で溢れているし、ロマンが何処かに隠されている。

本作に隠された「ロマンはどこだ?」




「おまえに一つ良いことを教えてやる。感じたこと全部をわざわざ口に出す必要はないんだよ。誰もが心の中で思っているだけならば、世界は平和だ。」