ちろる

アメリカン・ポップのちろるのレビュー・感想・評価

アメリカン・ポップ(1981年製作の映画)
3.7
ユダヤ系移民の家族が、戦争などを経て、4世代にわたり主人公が入れ替わっていく。
同時にアメリカの音楽史にもなっている。

出だしからコサックの虐殺から始まり、穏やかではない。
母と2人、アメリカに逃げてきて、やがて孤児になるも自分で劇団員への道を掴んだザルミー
や、子ども時代にマフィアの抗争を見たり戦争に行ったベニーに比べると、その息子のトニーはゆるい生き方をしている。
彼が生きるのはおそらく60年代から70年代、アメリカも平和でとても良い時代だ。
家出してカリフォルニアに向かい、カンザスのトウモロコシ畑で、女性と一夜の恋に耽り、その後とあるバンドの作詞家になる。
クスリに溺れて、共に溺れた恋人兼ボーカルとは死別。
カンザスのツアーで出会った少年ベニーは、なぜかその後トニーのNYでの路上生活につきまとう。
1人になったトニーはヤクの売人になりながら、やはり父と同じ音楽の道に進もうとする。

世界観は独特、どのカテゴリーにもハマらないので新鮮な感覚で楽しむことができたが、移民者から観るアメリカ史ということで、アンチディズニーのこの監督の作品には暴力的なシーンも出てくるので、あくまでも大人向けのアニメーション。

ちなみに本作の使用楽曲は46曲にも上り、アメリカの音楽史を通して魅力的な選曲となっている。
そして多くはオリジナル音源を使用しているというが、ライセンス料の関係で、サウンドトラックが存在しない音楽映画だそうです。
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