映画大好きザウルスくん

パッセンジャー57の映画大好きザウルスくんのレビュー・感想・評価

パッセンジャー57(1992年製作の映画)
3.3
ハイジャックされたジャンボ機に乗り合わせたテロ対策の専門家スナイプスが事件解決に挑む…!スナイプス初のアクション映画にして、後に『エクスペンダブルズ』メンバーに加わるまでの壮大なB級アクション俳優としての道が開けた重要な1作です!1992年の作品なだけあって全体的には『ダイ・ハード』(89)の影響を強く受けた仕上がりになっていますが、型が決まっているだけあって型から逸脱した部分、つまりは主演がスナイプスだからこそ出せた味が浮き彫りになっていました!

浮き彫りになった味、それはスナイプスの最大の武器である「身体能力の高さ」です!僕が思うにスナイプスは身体能力の中でも特に跳躍力に優れている印象があって、本作では胸くらいまでの高さがある金網のフェンスをいとも簡単に跳び越えるシーンがあります。他にも高低差のある場所で跳び前転してそのまま走って逃げるシーンや、ダッシュしながらポールでスルッと回るシーンなど随所で身体能力の高さを見せてくれました👏

格闘面ではアクション映画初進出なだけあって誰がやってもそこそこ魅力的に見えるミット打ちシーンでお茶を濁しつつ、メインとなるテロリストとのタイマン対決では『テキサスSWAT』の頃のチャック・ノリスのような地に足の付いた空手殺法(つまりヴァンダムがやるジャンプしながらの後ろ回し蹴りのような派手な技ではなく現実的に使えそうな蹴り技)を披露してくれます。ただリアルさを出すための表現なのか分かりませんが、オドオドしてるように手を揺らすのはあまりカッコ良くないので改善した方がいいと思いました。

全体の構成については、機内だけで戦うのではなく遊園地で簡易観覧車やメリーゴーランドを使った銃撃戦を披露したり、空港で出発しているジャンボ機に飛び移るシーンがあったり、何だかんだで最後は本作の主戦場であるジャンボ機内に戻って決着したりして場面転換が多く、観客を飽きさせない作りとなっていました。しかしこれはある意味『ダイ・ハード』や本作の2年後に公開された『スピード』のような限定空間だからこそ出せる緊迫感が無いため、ただ単に大味な作りだと揶揄することもできそうです。その他には人物の扱いが雑なところも目立っていて、序盤に出てきた少年がすぐにフェードアウトしたり肝心のヒロインも後半は活躍が激減したり、敵のリーダーもイマイチ掴みどころの無いキャラクターになっていました(まあこのリーダーに関してはスナイプスが金玉にパンチ1発とキック数発を喰らわせても我慢できるという謎の超人ぶりを見せてくれたお陰で印象に残りましたが…笑)。

まあ色々と言いましたが、最後に全て解決してヒロインをゲットして「お疲れした〜」って感じで軽く帰るスナイプスの背中を見て「番長楽しかったよありがと〜」と素直に言えた気がしたので、B級アクション映画として十分よく出来た作品だったのだと思います🙌