ねぎおSTOPWAR

美しきセルジュのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

美しきセルジュ(1957年製作の映画)
4.0
1957年製作
クロード・シャブロル監督のデビュー作。

氏はヌーヴェルヴァーグの旗手と呼ばれています。

今作ではご自身の体験が反映した青春期を描いた映画。
(お母さんの出身地でシャブロルも少年期に住んでいたクルーズ県サルダン)
(クルーズ県ってフランスのほぼ中央。パリから300kmくらいかな?東京から名古屋な感じ?)

だいぶ以前、重い病で村を出ることになったフランソワ(ジャン=クロード・ブリアリ)が療養のために帰郷。
そこには、かつての姿が失われたセルジュ(ジェラール・ブラン)がいた。
昼間から酒浸りで意識ははっきりせず・・かつては建築家を目指し、大学も決まっていたはずだった。・・どうやらイヴォンヌを妊娠させてしまい(それも死産)結婚。何かを恨みながら村で自堕落な生活を送っていた。
彼には義理の妹マリー(ベルナデット・ラフォン)がいて・・



フランス人の一般的な価値観を把握できていないので、特にセリフの裏側にある心情を的確にはわからない。
けれども主要な人物の微細な心を描き出した作品だということはわかります。


表面的には、セルジュがなぜこんなに荒くれているのかがよくわからない・・というかセルジュに不快感を抱くと思われます。それくらいフランソワに対して酷い。
でもそれはなぜか・・・自分に対するフランソワの態度や言葉に腹を立てているんですね。
そしてそれは同時に正当ではなく、嫉妬など、負の感情。
フランソワはまたセルジュやマリーに何をされても怒らない。でも別に天使なわけじゃない。なぜそんなにセルジュやマリーに手を差し伸べようとするのか・・悪く言うと偽善者。
基本的にシャブロルってこうした人間の本性を描いてきた監督さんのようですね。

****


シャブロルってゴダールやトリュフォーと同時代であり友人。
マリー役のベルナデット・ラフォンと
セルジュ役ジェラール・ブランはトリュフォー「あこがれ」にも出演。
ジャン=クロード・ブリアリはトリュフォー「大人は判ってくれない」にも出演。