佐藤克巳

蛇姫様の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

蛇姫様(1940年製作の映画)
4.5
川口松太郎新聞小説を原作に正続篇怪奇時代劇大作を大幅に省略した総輯篇なので、ひのき屋千太郎長谷川一夫の妹で琴姫入江たか子のお側に仕えるおすが山根寿子の死と、琴姫の守護神で猛毒のあるからす蛇の存在がはっきりせずに不満足だが、衣笠貞之助監督の艶やかな映像美が堪能出来るハイレベルな作品である。国家老佐伯左衛門薄田研二が、幕府御禁制の浮世絵五彩陶器の製造と密貿易を行い私腹を肥やしお家乗っ取りを画策。江戸の殿様から派遣された植原一刀斎大河内傳次郎の密偵探索、おすがの仇撃ちを狙う千太郎長谷川と芝居一座お島山田五十鈴の千太郎への恋が中心の編集となっていた。しかし、江戸へ向かう宿屋本陣で琴姫入江の透き通る様な美しさで、私の眼を見なさいと千太郎を説得してしまう場面に全てがあったと思われる。
佐藤克巳

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