ナツミオ

淑女と髭のナツミオのレビュー・感想・評価

淑女と髭(1931年製作の映画)
3.8
WOWOW on demand鑑賞
【小津安二郎監督特集】

“つまり、女よけのお守りなんです”

”1931年のリンカーン“

今まで観てきた小津監督作品は後期の作品だったが、もっと初期の物がWOWOWで特集され楽しみにしていた。

サイレント映画ながら音声は現代に録音。
画質のノイズは仕方ないが、楽しめた♪♪♪

ひげ面の蛮カラ学生がモテ男に変身。
小津安二郎監督の初期無声喜劇の新音声版。2023年、「連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~」の1本としてリメイク。

英題 『The Lady and the Beard』

1931年日本作品75分
モノクロ・スタンダード・サイレント
監督 小津安二郎
原作・脚本 北村小松
ギャグマン ヂェームス槙(=小津安二郎)
撮影 茂原英雄
出演 岡田時彦 川崎弘子 飯田蝶子 伊達里子 
声 寺田農
声 中井貴恵

(WOWOW番組内容より)
モジャモジャのひげ面をした蛮カラ大学生の岡島(岡田)。剣道部の主将を務め、大学対抗試合で活躍した彼は、祝杯を挙げようと、友人の行本から妹の誕生日パーティーに招待されるが、そこでも淑女たちを前に臆することなく蛮カラぶりを発揮して皆のひんしゅくを買う。ひげ面のせいで入社試験にもことごとく失敗した岡島は、ふとした縁で知り合った女性・広子から助言されてひげを剃ったところ、女性たちにモテモテの好男子へと変身する。

(WOWOW解説より)
モジャモジャのひげ面のせいで恋愛も就活もさっぱりだった蛮カラ大学生が、ひげを剃ったことでガラリと大変身。
当時大人気の二枚目スターで、1934年、惜しくも30歳で早世した岡田時彦(女優の岡田茉莉子はその遺児)が、豪放磊落な主人公に扮してその魅力を披露。
2023年、生誕120年/没後60年を迎えた名匠・小津監督の初期サイレント作品群に、現代の俳優陣が音声を吹き込んでリニューアルさせた新音声版の1本で、本作の声の出演は寺田農と中井貴恵。ギャグマン名義のヂェームス槙は、小津の変名。

小津監督のナンセンス喜劇の中でも代表格とされる作品で、二枚目俳優の岡田時彦が喜劇的センスを発揮した。
飯塚敏子のデビュー作でもある。
初回興行は帝国館。現在、東京国立近代美術館フィルムセンターがフィルムを所蔵している。(Wikipediaより)

オープニング・タイトルとクレジットのフォントが洋画っぽい。

髭面だがその素顔は途中から男前の匂いがプンプン♪

そして、知り合いの女性から勧められ髭を剃ったら…

まさに昭和のイケメン♪♪♪

それまでと打って変わり、就職は決まるわ、女性にはモテモテ🎵

劇中、”治安維持法“のセリフなど当時の時代を感じるものも登場。
1925年施行。公開時は6年後か。
世界恐慌後、不況だがまだ戦争の影は見えない時代か。

太平洋戦争開始後の1941年、治安維持法は適用対象を拡大し、宗教団体・学術研究会(唯物論研究会)・芸術団体なども摘発されていった。(Wikipediaより)

観終わって、
監督はフランスのコメディ作品やアメリカ映画の影響を受けたと感じる。

全体の雰囲気やカメラ・ワークは、フランス映画♪♪

“だがしかし、
  剃っても剃っても生えるのは
   髭である”

 〜エブラハム・リンカーン

なかなか楽しい、小津作品でした。
サクッと観られる75分。

【忘備録】
(キャスト)
剣道選手岡島喜一: 岡田時彦
タイピストの娘広子:川崎弘子
その母:      飯田蝶子
不良モダンガール: 伊達里子
男爵の息子行本輝雄:月田一郎
その妹幾子:    飯塚敏子
その母:      吉川満子
家令:       坂本武
敵の大将:     斎藤達雄
社長:       岡田宗太郎
金持のモボ:    南條康雄
その母:      葛城文子
剣道の審判長:突貫小僧(ノンクレジット)
ナツミオ

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