似太郎

西部の人の似太郎のレビュー・感想・評価

西部の人(1958年製作の映画)
4.6
【諸行無常】

個人的にアンソニー・マンの映画は本作と『真昼の欲情』がベストだと勝手に決めている私。長回し映像の美学とゲイリー・クーパーの記号的な存在感(?)が一種異様なムードを醸し出している。

ハリウッドお得意の類型的な西部劇であるにも関わらず、やってる事は超アブノーマル。中盤の軟禁シーンは特に悪夢的。最終的にヒロインを悪漢たちから救出させるもラストは苦々しく、スカッとしない陰鬱な感じである。この頃のアンソニー・マンらしいニヒリスティックさと無常観が全編に漂っており秀逸。

イーストウッドの『許されざる者』と並んで暗くドロドロした退廃的な西部劇の逸品だと感じる。西部劇によくある痛快さを求めてはダメです。(~_~;)
とにかく映像による空間設計と苦々しいムードを満喫したいなら是非オススメの作品。
似太郎

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